増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
産科編
VI 異常妊娠
妊娠悪阻
松原 茂樹
1
1自治医科大学産科婦人科学講座
pp.248-250
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103728
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疾患の概要
妊娠悪阻(hyperemesis gravidarum)はつわり(nausea and vomiting of pregnancy)の重症型である.妊婦のおおよそ80%程度がつわりを経験する.どこまでがつわりで,どこからが妊娠悪阻なのかの明確な基準はないが,海外でも本邦でも,以下を示す場合には妊娠悪阻と診断されることが多い.すなわち,毎日嘔吐し,尿中ケトン体陽性で,持続的に体重が減少する場合,ことに5%以上体重減少する場合.
通常,妊娠4~9週に発症し,12~15週に最も重症になり,20週までには改善する.20週になっても症状が改善しない場合には,「つわり様症状を示す」他疾患の存在を検索する必要がある.ただし,稀には「つわりが妊娠末期まで続く」例もある.
hCG高値や消化器疾患の併存,Helicobacter pyloriの存在などが悪阻の要因・誘因・risk factorだと認識されているが,悪阻がなぜ起こるかは解明されていない.
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