特別寄稿
カンガルーケア,私たちの取り組み
二俣 ゆみ子
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院周産期センター
pp.141-147
発行日 1996年2月25日
Published Date 1996/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901418
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はじめに
子どもは出生直後からの母子相互作用によって,人間としての基本的な信頼関係を確立していく。当聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院周産期センター母性部門では,母子関係確立に対し,より自然で生理的な営みを支援するケアを提供するために,母児同室制をとっている。母親は,出産直後から子と一緒にいることで,最初はぎこちなくおろおろしがちでも頻回に授乳を続けるうちに自信に満ち,この子のことはほかの誰よりも自分が一番よくわかっているというような,余裕のある笑顔を見せて退院していく。
このごく自然な様子を目にするにつけ,母子分離を余儀なくされ,母子が常に一緒にいることのできないNICUに収容される児とその母親の間にも,同じような関係を築く必要があるのではないかと思っていた。
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