特集 今日の助産婦外来
助産婦外来のメリット;産科医師の立場から
山下 恵一
1
1深谷赤十字病院産婦人科
pp.95-98
発行日 1996年2月25日
Published Date 1996/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901411
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はじめに
医療をとりまく環境の変化は目まぐるしいものがある。癌の告知,尊厳死,インフォームド・コンセントなどなどは一般誌にも取り上げられるテーマである。医療情報が豊富なことは良いことではあるが,いささか氾濫気味の情報過多の時代,正しい・良い情報と,間違っているのではないかと心配してしまうような情報まで取捨選択が難しい時代である。お産に関してもその例外ではない。そういう時代の流れの中で,妊婦さん自身の考え方にも変化が見え始めているようである。
妊婦さんは,まずは「安全なお産」を求めて総合病院の産婦人科を受診する。しかし施設でのお産は,確かに産科学が優先する「安全なお産」ではあるが,いささか産科医(私もその一員である)主導の画一的な安全第一のお産である気がしてならない。女性にとってお産とは本来病気ではないはずである。そこで,安全だけでは満足せず,その中に,「女性の一生に幾度とはない出産という一大イベントを,自分自身が主役になって納得のいく形で完結したい」と考え始めている女性が増えつつあるような気がする。
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