MEDICAL SCOPE
ダウン症候群胎児の妊娠初期スクリーニング
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.877
発行日 1995年10月25日
Published Date 1995/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901344
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ダウン症候群胎児の出生前診断法には,妊娠初期(妊娠9〜10週頃)のCVS(絨毛検査 chorionic villi sampling)や,妊娠中期(妊娠16〜18週頃)の羊水診断があることはよくご存知の通りです。しかし,このふたつの方法は100%無害ではなく,1,000例に1例という大変に少ない割合ではありますが胎児に対してリスクがあり,この検査のために流産したり,胎児死亡となることがあります。このリスクをなくすためにも,実施する症例をなるべく少なくしたいものです。
また,これらの胎児診断は,高年齢の妊婦とか,前回にダウン症児を分娩したというような一定の妊婦にしか実施されないので,若い正常な妊婦からのダウン症児の出生はけっして減少していないのも事実です。英国では,出生したダウン症児の75%は母体が34歳以下ということです。つまり,35歳以上の妊婦ではこのような胎児診断をうけるために,ダウン症児の出生が減少しているということを示しています。
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