私と読書
新種の妊娠・出産・育児本の登場—内田春菊著『私たちは繁殖している』を読んで
高島 葉子
1
1厚生省看護研修研究センター
pp.874-875
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901120
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最近,妊娠・出産・育児を題材にした作品やマンガがたくさん発行されています。今まで妊娠・出産はひっそりと扱われていたものが,最近は堂々と表通りを歩くようになったという感じです。助産婦である私たちも社会の動きには敏感であるべきと思い,今話題の内田春菊著『私たちは繁殖している』を読んでみました。
私は,まず題名に,どうも異和感を感じてしまいました。確かに私たちは繁殖しているのです。それなのに,「繁殖」という言葉の中に動物的な響きを強く感じてしまい,きっといやな感情を抱いてしまうのでしょう。しかし,よく考えてみると,私の中に,人間だって動物なのに入間だけが偉いというような,おごった気持ちがあるのです。地球上に生まれた最初の生物から進化の過程で,私は,たまたま人間として,ここに存在しているにすぎないのです。言い換えれば,ほかの動物たちがいるから,私が私でいられるということです。
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