特別記事 佐藤由美子さんの出産体験をいかに受けとめるか
共同存在としての産婦と助産婦の関係
山田 節子
pp.416-421
発行日 1994年5月25日
Published Date 1994/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901022
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
助産の基本は産婦と助産婦の関係性
わが国における最近の助産活動の動向の一つとして自然出産への志向があげられる。開業助産婦や一部の病院勤務の医師や助産婦の間で,陣痛促進剤などの医薬品や超音波や分娩監視装置などのハイテク機器に頼り過ぎる分娩ではなく,できる限り不必要な医療介入を避け,身体に備わっている自然なメカニズムを大切にする出産(ナチュラル・バース)を取り戻そうという動きが生まれている。
一方,受け手である母親やその家族たちのグループ(消費者団体)においても,同様な出産が主張され始めている。このことは近年の,その人らしく生きる人間性の追求(QOL)を背景にして,女性も子を産み育てる自分たちの主体性を尊重しよう,という動きに具体的にみられる。これはその女性を支える専門職助産婦の主体性獲得への挑戦であるとも言えよう。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.