特別寄稿
陣痛促進剤の功罪—子宮収縮剤「使用上の注意」改訂にあたって
箕浦 茂樹
1
1国立病院医療センター産婦人科
pp.404-408
発行日 1993年5月25日
Published Date 1993/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900802
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はじめに
去る1月28日,東京高裁で1つの判決が言い渡された。これは帝切既往のある経産婦に対してオキシトシンとプロスタグランディン(PG)を併用して点滴静注した後,母体が子宮破裂をきたし,緊急帝切をしたものの,児は脳性麻痺になり1年10か月で死亡した事実について,その原因は子宮破裂の危険性のある妊婦に対してこれらの子宮収縮剤を不適切に投与したためであるとして,病院設置者に対し4500万円余を支払うように命じたものである。
これに対する新聞等の反応は,事実を伝えるのみで,なんらコメントを加えていないのがほとんどであるが,「陣痛促進剤使用ミス」,「陣痛促進剤使用で過失」などの見出しは一般読者にとって十分センセーショナルであり,陣痛促進剤(正しくは子宮収縮剤であるが,子宮収縮剤には麦角剤も含まれるので,ここではあえて陣痛促進剤とした)に対する警戒感が強まったものと思われる。
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