Medical Scope
臍帯血のガス分析
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.974
発行日 1981年12月25日
Published Date 1981/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205945
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出生時の新生児の状態を診断する方法として,昔から行なわれていたカゾーの第1度仮死,第2度仮死の分類にかわって,Apgar Scoreが登場してきましたが,より一層正確に胎児・新生児の低酸素症の診断を行なえる手段として,胎児血,臍帯血のガス分析があることは,すでに知っている方が多いことと思います。出生前に,すなわち分娩中に胎児仮死fetal distrcssの状態になったときに,胎児の先進部から1滴の血液をとり,その血液からpHを測定し,アシドージスの程度により帝切にするかどうかを決めるといった診断法はSaling法といって,近代産科学の最初の火花を散らしたものでした。その後,この方法は分娩中の内測法での胎児心電図による胎児心拍数モニタリングが非常に発展したので,行なうチャンスはずい分と少なくなりましたが,今日でもなお有力な最終的診断技術として活躍しています。
この方法のつづきといってはおかしいのですが,出生した直後の臍帯動脈血を採血してpHやPO2を測定し,その新生児の出生時の状態を把握しようという考えが生まれ,今口ではずい分と用いられるようになりました。新生児が仮死で出生したときには,この方法ですぐpHを調べ,アシドージスのために不足しているアルカリ分を重曹で補う量を決定します。ですから,正しい必要最だけを投与することができ,仮死新生児の治療には非常に役立ちます。
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