今月の臨床 妊娠と免疫
異常妊娠と免疫
22.PROMと免疫
寺尾 俊彦
1
,
金山 尚裕
1
Toshihiko Terao
1
,
Naohiro Kanayama
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.202-203
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900747
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PROMの成因
PROMの主たる原因としてchorioamnionitis(CAM)が考えられている。今井らによればpre—term PROMの58%にCAMが認められたと報告されている1)。筆者らの追跡でもPROMの原因としてCAMが約60%を占めていた。すなわちCAMの発生機序がPROMの病態と深く結びついていると考えられている。一般的にCAMの成因は頸管からの感染・炎症の上行性の波及と考えられている。CAMの卵膜を病理学的に検索すると好中球,マクロファージが卵膜へ浸潤するのが見られ,さらに進行すると卵膜の線維層の空胞化が認められるようになる。しかし空胞化の周囲には特殊染色を行っても細菌を認める場合は少ないし,また存在しても卵膜を分解するほどの菌量は検出されないことが多い。またPROMの卵膜のコラーゲン分析をするとIII型コラーゲンのみを特異的に分解することがわかる2)。細菌性のコラゲナーゼはI型とIII型コラーゲンを同時に分解するのでPROMの卵膜コラーゲン分解に細菌性コラーゲンが直接的に関与している可能性は少ない。コラーゲンの基質特異性からIII型コラーゲンを特異的に分解する酵素は好中球エラスターゼであることが知られている。PROMの卵膜をエラスターゼ抗体を用い免疫染色を行うと,羊膜線維層の空胞化部分に一致してエラスターゼの局在が認められる。
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