特集 母子感染—最新知見と対応
成人T細胞白血病(ATL)ウイルスキャリアの妊産褥婦の看護
住田 亮子
1
,
小林 明恵
1
1横浜市愛児センター
pp.1003-1007
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900452
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
成人T細胞白血病(以下ATLと略す)は,HTLV-1による疾患であり,母乳が主たる感染経路であることが医学的に判明している1)。このために当横浜市愛児センター(以下,当院)では,1986年6月より,来院した妊婦全員について,HTLV-1を検査するようになった。今までに当院でHTLV-1抗体陽性と告知された人は,全妊婦の1.1%である2)。
母乳感染による母児間感染予防対策としては現在,①完全人工栄養,②短期授乳,③加工母乳(凍結・解凍または加熱処理)が試みられている3)。このうち,加工母乳は,家庭で完全に行なうことはむずかしい。短期授乳についても,まだ報告例が少なく,安全であるとはいえない4,5)。そこで当院の方針として,完全人工栄養が望ましいとしている。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.