特集 会陰保護術の科学的再考
10万の分娩に立ち合った助産婦—正面介助法の田中美代子氏訪問記
柴田 真理子
1
1東邦大学医療短期大学専攻科母子看護専攻
pp.933-937
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900204
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田中美代子さんとの“出会い”
私は女性問題研究家の大林道子氏が「信濃毎日新聞」に昨年の9月から連載していらした「お産・女と男」を興味深く読んできました。今年の2月8日付けのNo.23,2月15日付けのNo.24では“助産婦の創意工夫”というサブタイトルで,田中美代子さんの業績が取り上げられていました。田中美代子さんとは,分娩介助の一方法としての正面介助を打ち立てられた方ですといえば,私たち助産婦にはすぐ納得できるのではないでしょうか。それだけではなく,36年間の長い助産婦生活を通して10万件の分娩を観察し,その観察の中から理論と実際の相違を数多く実証した旨が書かれていました。
私はこの記事を読みワクワクし,凄い人がいたものだと驚嘆してしまいました。一言で10万件と言われましてもピンときませんが,年間2,777件,1日7〜8件と考え,あらためてその数字の大きさと,常にそこに臨んでいた田中さんの職業に対する姿勢の厳しさを痛感させられておりました。そんな折り,この大先輩の田中さんにお会いする機会に恵まれ,喜んで飛びついてしまいました。何をどのように質問しようという明確な意図もなく,ただひたすら一目会いたい,声をききたい,あのようなバイタリティーはどこから生まれたのか知りたい一心で,神奈川県・相模大野のお住まい兼アトリエにあがらせていただきました。
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