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—第22回ICM大会記念出版—『助産婦の挑戦』の翻訳にとりくんで—助産婦の課題克服を促される
寺田 真廣
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1群馬大学医療技術短期大学部看護学科
pp.722-723
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900156
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出会い
イングランドの学園都市オックスフォードの郊外,小さな湖に面した美しいマナハウスに,「助産婦の挑戦」の編者であるシーラ・キッチンガー女史は住んでいます。マナハウスは日本流に言うなら昔の庄屋の屋敷で,1988年の秋も深まった11月の中旬,そのお屋敷で,チーム助産サービスを始める地域助産婦たちの勉強会が開かれることになり,私もそれを見学に出かけました。そして,初めてキッチンガー女史に会ったのです。女史の専門分野は人類学ですが,女性と出産をテーマにしていることから,イギリス国内では出産教育者としてよく知られています。数年前には来日し,著書も邦訳されていて,わが国でも彼女の名を知る人は多いようです。
キッチンガー氏はまた,女性が主体的に自然な出産をするには,女性の出産介助者が最も良いとして,助産婦に対する積極的な支援活動も行なっています。助産婦の勉強会に自宅を提供したり,各国を回ったときに集めた情報を助産婦と交換し合ったり,時には,素人の一女性として厳しい質問を助産婦に投げかけたりするのです。私が会ったときも,日本でもらったというミッヘル(会陰裂傷を縫合せず癒合させるのに用いる金属性のクリップ)についての意見をとうとうと述べたことです。
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