第22回ICM学術大会から
—次回ICM大会開催国—カナダの助産婦活動
Carol Hird
1
,
Brian Burtch
2
,
尾田 葉子
1タグラスカレッジ
2サイモン・フローザー大学
pp.226-232
発行日 1991年3月25日
Published Date 1991/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900281
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カナダの助産婦は独立して働けない
ここで紹介するのは,カナダの助産婦の簡単な歴史,いまカナダで助産業務をめぐって論議されている問題,助産婦が独立して業務をできるようにするという最近の動きである。工業先進国のカナダで,いまだに助産婦の独立業務が法的に認められていないのは意外だとよくいわれる。確かに,助産婦は病院の陣痛・分娩室には雇用されているが,彼らが看護婦以外の資格で合法的に開業できる場所は今のところほとんどない。お産の99%は病院でなされているので,訓練された助産婦や産科看護婦が雇用される場は,病院を基盤とした妊産婦ケアが中心となる。しかしながらこの20年間,数多くの地域助産婦が,計画的にホーム・バースを希望した数千人の女性の出産に立ち会ってきた(Barrington,1985)1)。病院にいる助産婦と違って,これらの地域助産婦には施設からの確立された支援もなく,現在のところ,彼らを管理し保護する法律も全くない。
カナダにおける助産業務をめぐる論議は,今日の産科サービスは過剰介入であり,女性を尊重していない場合が多いという批判(Mason,198820):123;Oakley,198322))も含めた幅広い展開と結びついている。以来,助産婦は妊娠中のケア,産前・中・後のケアに関して,安全で熟練した申し分なく適切なプラクティショナーであるとして,彼らを弁護する力のこもった重要な文献が発表されている。
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