特集 がんを考える
子宮がん検診の最近の動向
山辺 徹
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.537-543
発行日 1989年7月25日
Published Date 1989/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207651
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
最近,日本人の平均寿命は著しく延長し,厚生省がまとめた昭和62年簡易生命表によると,男性が75.61歳,女性が81.39歳となり,人口の高齢化がハイスピードで進行しており,高齢化社会への対応が重視されている。これは必ずしも健康な老人の増加によるものではなく,疾病構成からみると,高齢者の慢性疾患が目立ち,老人医療費の占める割合は年次的に伸びてきている。とくに悪性新生物,心疾患および脳血管疾患の3大死因を中心とした対策が大きな課題である。
このような背景の中で,わが国では,すでに昭和58年から老人保健法(老健法)が施行され,その保健事業の一環として,子宮がん,胃がんおよび循環器疾患などの検診が行なわれ,効果をあげてきた。厚生省では,昭和62年度よりさらにその充実・強化のために,公衆衛生審議会の「保健事業の見直しに関する意見」をもとに,質的充実を基本方針として第2次5か年計画を立てた。そして肺がんと乳がんの検診が新たに取上げられ,子宮がん検診については,その浸透と定着に加えて,子宮頸がんのみでなく,子宮体がん検診も対象として導入された。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.