特集 産婦のパニックをいかに受けとめるか
分娩時,パニック状態になった産婦のケア—陣痛の度合測定分析を応用して
葛西 イネ子
1
1中野総合病院
pp.889-894
発行日 1988年11月25日
Published Date 1988/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207502
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はじめに
近年,ますます,妊産婦たちは自分のお産というものに対し,はっきりとした目的意識を持ち,また自分がこういうお産がしたいからこの産院で,この方法で産みたいと,自らすすんで学び選択するようになってきている。なかでもラマーズ法は,1970年代前半に日本に紹介されてから現在では全国的に普及し浸透してきている。ラマーズ法によって妊産婦の自主性は確実に向上し,女性にとって出産は苦痛に満ちたできごとではなく,主体的にのりこえて喜びを得るものとなったのである。
しかし,実際には,産みに対しての自主的な意識を強く持っていても,分娩が進行するにつれて陣痛に対するコントロールがうまくいかず,パニック状態に陥ってしまうことが少なくない。私たち助産婦,医療スタッフはそのようなときどのような援助をしたらよいのか。いつから,どのような状態になり始めたとき,どのような援助を行なったらよいか,適切な援助を行なう一つの指針を得るために,陣痛の度合を数量化し分析・検討してみた。この陣痛の度合を数量化することにより,分娩の異常の早期発見と分娩に対する適切な援助法を見出し,さらには,ラマーズ法に対する援助はどの時期に重点が置かれるべきかも追求してみた。
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