特集 10代の妊娠・出産
10代妊娠における心理的・社会的背景—出産を前提とした具体例を通して
藤江 のどか
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.803-810
発行日 1988年10月25日
Published Date 1988/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207481
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はじめに
近年,全体の人工妊娠中絶件数が減少する中で10代の人工妊娠中絶件数だけが上昇しており,社会問題となってきている。10代の妊娠は結婚よりも先行することが多く1),非嫡出率は他の年齢群よりも高率であるといわれ2),妊娠時は未婚が多いと考えられる。また,望まない,予定外の妊娠が多いともいわれている3)。妊娠によって学業が中断されたり,就職の機会が失われたり,職業選択が限られたりする。そのために10代の妊娠・出産は,妊娠した本人をはじめ相手の男性,親や周囲に様々な波紋をよびおこすことが多い。
当センターでは,昭和56年10月の開所から昭和62年12月末までに,全分娩件数の1.1%にあたる92例の10代の分娩があった。このうち32例について,医療費や児の養育など妊娠・出産に伴って生じた問題に関してMSWが相談を受けた。これらは望むと望まざるとにかかわらず出産に至った者たちばかりである。
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