特集 ニードにこたえる
私のニードのとらえかたをふり返る—四肢に異常のある児を出産した母親とのかかわりから
寺田 恵子
1
1横浜赤十字病院
pp.716-721
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207459
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はじめに
「ニードにこたえる」というテーマは私にとっては大変難しく,どうしたらよいなどとは,まだ書けない。私にできることは,臨床5年間の体験の中で「ニードにこたえられていなかった」という心残りのあるMさんとのかかわりを振り返ることしかない。
Mさんは1年7か月前,両足と左手のない赤ちゃんを出産した。大きなハンディキャップを持つ児の出生に,私の心は揺れ動いた。出産後,少しでもMさんにとってよい看護をと思っては見たものの,何一つニードにはこたえられぬまま,Mさんは退院された。
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