特集 エイズ,ATL,STD
ウイルスと免疫
矢田 純一
1
1東京医科歯科大学小児科学教室
pp.534-539
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207415
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はじめに
免疫機構は微生物から生体を護るしくみとして存在するわけであるが,微生物のなかでもウイルスは生きた細胞の中で複製されて増殖するという特別の性質をもつため,ウイルスに対する免疫機構には他の微生物に対するしくみとは異なった側面が存在する。
ウイルスは細胞に感染し,その細胞の中で増殖して細胞を障害するので,免疫組織も当然その標的となる。ウイルスによってもたらされる免疫系の破壊の典型が,AIDS(エイズ)である。エイズは免疫系が障害されるために,一層そのウイルスをのさばらせることになるし,他の微生物に対する抵抗性を弱めることにもなる。
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