講座 臨床ウイルス学・4
自己免疫疾患とウイルス
廣瀬 俊一
1
1順天堂大学医学部・内科(膠原病)
pp.1895-1900
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219988
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自己免疫にウイルスが関与していることは種々の動物実験からその可能性が論じられているが1),ヒトのいわゆるリウマチ性疾患にもウイルスが関係していると考えられている.その根拠としては,種々のウイルス感染の場合に狭義のリウマチ性疾患と同じ症状,すなわち,関節痛,腎炎,皮疹,低補体価のほか,動脈炎などが出現し,このような症状は自己免疫現象を伴うリウマチ性疾患である自己免疫病に多発する症状と類似したものであるからである.
また,最近は自己免疫現象を起こすのは種々の免疫細胞の質的,量的反応性の変化が原因と考えられているが2),この反応性の変化がウイルスによって誘導されたと考えられる現象が認められてきている3).したがって,これらのことから自己免疫現象にウイルスが関与しているということが相当な確実性をもって示唆されるようになってきている.
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