Medical Scope
妊娠性糖尿病の早期診断
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.899
発行日 1987年10月25日
Published Date 1987/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207249
- 有料閲覧
- 文献概要
今月も第39回日本産科婦人科学会からの話題です。諸君はこんな症例にあたったことはありませんか。今まで正常に経過していた妊婦で,妊娠39週になって胎児が突然子宮内で死亡してしまった,あるいは,母体は何ともなかったのに胎児に奇形があり,胎児死亡してしまった。そして,その原因をよく調べてみると,母体が糖尿病であったというような症例です。
なかでも,妊娠していないときは何ともないのですが,妊娠すると,糖尿病患者と同じような糖代謝異常を示す妊娠性糖尿病の診断はとてもやっかいで,ことに妊娠初期に診断するのは非常に難しいのです。しかし,妊婦の糖尿病はごく初期に診断しなくては意味がないのです。というのは,妊娠初期に高血糖状態が続くと,胎児の奇形発生が多くなってしまうからです。また,子宮内で胎児が死亡して初めて,「あなたは糖尿病でした」と診断を下すようでは,今日の進歩した医療としては認められません。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.