MEDICAL SCOPE
糖尿病合併妊婦の妊娠前対策
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.613
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903346
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妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)を含めて,糖尿病は妊娠性高血圧と併せて重大な妊娠の合併症であることは今さらいうまでもありません。そして,これは日本より欧米では非常に大切な臨床での問題となっています。というのは,日本人より症例がずいぶん多いからです。
糖尿病合併妊娠の妊娠中の管理では,血糖のコントロールが大切で,それが胎児の予後と密接に関係していることは皆さんがすでによくご存知のことでしょう。また,糖尿病合併妊婦では胎児の奇形発生率が高いことも覚えていることと思います。殊に中枢神経系の奇形でなかなか生存することが難しいようなもの,たとえば無脳症,水無脳症,脳ヘルニアなどの発生率が高いのです。そして,何年か前にその原因について,このメディカルスコープで辞きました。妊娠のごく初期,妊娠4週から6週にかけての胎児の中枢神経系ができてくる頃に,母体が高血糖になっていると,そのような奇形児が発生しやすいということでした。
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