Medical Scope
経腟・経直腸超音波断層法
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.272
発行日 1987年3月25日
Published Date 1987/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207102
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超音波断層法は,諸君もよく知っているとおり,現代の周産期医療にはなくてはならない臨床検査法になってしまいました。妊娠初期における胎児の生死の診断,正しい妊娠週数の診断,さらに胎児の奇形の出生前診断から,最近では子宮内胎児輸血や胎児手術のガイドとしても用いられるようになっています。また,心エコーといわれているように,胎児の心臓の弁の動きや血管内の血流をみて,先天性心疾患を診断したり,臍帯や胎盤内の血流を映し出して,胎児の発育や成長の様子を診断する研究も間もなく臨床応用されるところにまできています。
進歩の最前線の話はさておいて,私たちが日常,産科外来のベッドサイドで超音波断層法を行ない,胎児発育の様子や胎盤の付着部位をみようとするときに1つの悩みがあるのを皆さんは知っているでしょうか。よほど立派な器械を使えばよいのかもしれませんが,一般のものでは,母体の後側つまり仙骨側の部分は,腹壁側の前壁側にくらべて見えにくいということがあるのです。腹壁から仙骨までは距離があるので超音波がとどきにくいということもありますが,それよりも,仙骨側が見えにくいことが超音波断層法での最大の悩みだったのです。ことにふとっている人では,子宮の後壁のほうがなかなかきれいに映らないのです。そのため,内子宮口の後壁に少しかかった後在位胎盤などの診断もときには正確にできないこともあります。
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