Medical Scope
分娩第2期の遷延
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.95
発行日 1987年1月25日
Published Date 1987/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207063
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子宮口が全開大,すなわち,10cm開大してから胎児娩出までの間を分娩第2期ということは,諸君もよくご存知のことでしょう。分娩第2期は児頭に最も圧迫がかかる時期なので,あまり長くならないうちに分娩させたほうがよいということも知っているはずです。そこで,分娩第2期の遷延,つまり,長くかかりすぎるときにはどんなことを考えなくてはいけないのか,分娩をとり扱う者にとって常に頭のなかに入れておかなくてはならない事項をメモ的にまとめてみました。
まず,分娩第2期がどのくらい遷延したら急速遂娩に移るかということですが,これには,有効な陣痛がきているのに2時間も分娩が進行しなければ,経腟分娩を中止して帝切に切り換えるという原則があります。分娩に有効な陣痛,すなわち,子宮収縮とは,羊水圧つまり内測法で直接子宮内圧をはかったとき,50mmHg以上の圧力がある子宮収縮を意味します。それがあるのに,分娩第2期に2時間以上にわたって分娩の進行がみられないときは,原因はいろいろあれ,それ以上の分娩進行は危険だし,経腟分娩できる可能性も少ないので帝切にしなさいというのがこの指標の内容です。ことに,児頭骨盤不均衡(CPD)が考えられる症例やそのボーダーライン・ケースなどでは,この原則を守ったほうがよいのです。また,内診所見で胎児の骨重積が著明になっているときも,第2期遷延では,これ以上分娩を続けてはいけません。
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