特集 母子の看護過程
妊婦の看護過程—外来での妊婦看護
柴田 真理子
1
,
佐山 光子
1
1埼玉県立衛生短期大学看護学科
pp.550-560
発行日 1986年7月25日
Published Date 1986/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206910
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外来と妊婦
1.外来の特性
私たちが妊婦としての女性に出会い,看護を実践する場は,そのほとんどが産科外来である。
しかし,外来での診療は限られた時間内に多くの患者を扱うため,一般に身体的側面の問題に重きがおかれ,個別の潜在的な問題やニーズは見すごされやすい。そして患者はそれぞれ異なった生活環境,地域集団へと戻っていき,次回の受診までには一定の期間がある。しかも受診行動の判断や療養態度,生活調整はその個人にゆだねられている。従って外来では診療のみならず,看護面からアプローチした療養・生活指導,患者教育が重要であるのはいうまでもない。しかし,診療介助に追われがちな業務の中では個別の問題把握が難しく,その評価は次回の受診時まで待たねばならず,計画修正へのフィードバックが困難で援助が後手にまわる危険性がある。こうした特性から外来の看護過程の展開においては時間的な制約を考慮し,効率的でもれのない情報収集と的確な援助のために,問題志向型記録(Problem-Oriented Record,POR)システムを活用することが役立つであろうと考える。
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