特集 障害をもった妊産婦への援助
特集に寄せて
障害者妊産褥婦が利用できる社会資源
田戸 静
1
1葛飾赤十字産院医療社会事業部
pp.118-123
発行日 1988年2月25日
Published Date 1988/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207319
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はじめに
障害をもった人が妊娠・出産して育児を行なうとなると,そこには様々な障害が付きまとう。それだけに,たとえば妊娠・産褥期の経過が正常の線をたどっていても,当事者らは常に不安を抱いているといってもよいだろう。しかも,妊産婦自身,そのハンディキャップのゆえに情緒面の安定性を欠きやすく,それを支える家族を含めて,妊娠期から育児までの長期にわたる心労は並大抵ではあるまい。
障害をもつ妊産婦は,大きく2つのグループに分けられるように思われる。1つは心身障害者として,身体障害者手帳(肢体不自由,視聴覚障害などの身体上の障害者)や療育手帳(精神能力全般の発達が不完全な状態の精神薄弱など精神上の障害者)が交付されている人たちと,他の1つは特殊の疾病に罹患していることを本人や家族が多少なりとも自覚している人たちである。その疾病としては,心臓病・結核・精神病・難病(スモン,リウマチなどに代表される原因不明の疾病)や原爆症,あるいは公害病(気管支喘息など大気汚染による健康被害)等々があげられる。前者に対しては,国や地方公共団体が障害の程度により日常生活用具や諸手当の給付などの種々の施策を行なっている。
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