特集 甲状腺疾患合併妊娠の理解
甲状腺疾患合併妊産褥婦の看護基準
白崎 真理子
1
1国立仙台病院母子医療センター
pp.114-119
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206814
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はじめに
甲状腺疾患は圧倒的に女性に多く,かつ妊孕力のある年代の婦人に好発するため,妊娠との合併頻度は0.28%と比較的多くみられる。最近は,産科学はいうに及ばず,内分泌学的検査法の確立,内科や外科領域における治療や管理の著しい進歩によって,甲状腺疾患合併妊婦でも一般妊婦と同様に出産が可能になった。
甲状腺疾患は母体・胎児へ及ぼす影響が大きく,妊娠・分娩経過に伴い種々の障害を起こしやすい。妊娠中においては,流早産,妊娠中毒症,IUGRの頻度も高く,分娩期周辺では甲状腺クリーゼの危険性も考えられる。また,産後には,疾病の悪化や再発をみることが多く,しぼしば育児ノイローゼなどを含めた産後の情緒不安定の原因となる,との報告もなされている1)。しかし,これらの障害も,内科と連携を密にとり,甲状腺機能のコントロールがなされていれば,適切な管理・指導によって十分予防できるものである。その意味で,妊娠中からの継続的な指導と細心の観察力をもち看護に当たることが特に大切となる。
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