Medical Scope
新生児の吐血・下血(新生児メレナ)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.917
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206751
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新生児期に血液のいろいろな凝固因子の欠乏のために消化管から出血をみる疾患に,新生児メレナあるいは真性メレナといわれている疾患のあることを皆さんはご存知でしょう。
メレナmelenaという言葉は吐血・下血のような出血を意味しますが,今日では,新生児に先天性消化管疾患もなく,母体血を分娩時にのみ込んだためでもないのに,消化管から出血し,下血・吐血を示す症例を新生児メレナまたは真性メレナといっています。生後,肝機能が未熟なため一過性に数種類の血液凝固因子が欠乏してしまうのが原因で,新生児は出血傾向になり,消化管から出血するものです。軽症な症例では軽い吐血・下血ですみますが,原因が血液凝固因子の欠乏にあるので,重症な症例では,消化管だけでなく,全身的に出血傾向が出現することもあります。
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