連載 産科臨床検査の実際・8
妊娠時の胎児管理—NSTとOCT
石井 明治
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.657-660
発行日 1985年8月25日
Published Date 1985/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206697
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胎児がどのくらい元気でいるかを知る手がかりとして,トラウベ聴診器で胎児心音を聴取する方法が行なわれてきたが,ハンマシャーが胎児心拍モニタリング法を提唱して以来,分娩監視装置による胎児管理が普及し,現在では,胎児予備能と胎児予後の判定に広く用いられている.
分娩時にみられる胎児仮死は児の子後と関連が深いし,また,妊娠中期・後期に胎児子備能が低下下している症例には胎児仮死が発生しやすい.妊娠中の胎児の代謝予備能を推定する目的で,7月号で解説した母体尿中エストリオール(E3),血中胎盤性ラクトーゲン(hPL),耐熱性アルカリホスファターゼ(HSAP)などの測定が行なわれているが,胎児の生環学的な子備能の判定には分娩監視装置を用いたノンストレステスト(NST),オキシトシンチャレンジテスト(OCT)が行なわれている.E3,hPLが胎盤での物質代謝や栄養代謝の指標になるのに対し,NSTやOCTは胎児-胎盤系の呼吸機能の指標といえる.なおOCTはコントラクションストレステスト(CST)ともよばれる.
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