臨床薬理学 薬物療法の考え方・3
投与間隔のきめ方
中野 重行
1
Shigeyuki NAKANO
1
1愛媛大学医学部・薬理学
pp.481-488
発行日 1981年3月10日
Published Date 1981/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217087
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有効血中濃度域のわかっている薬物の場合には,この領域内に血中薬物濃度が入るように投与量を設計することが,薬物療法の有効性と安全性を高めるための有力な手段となる.そのために,生体をコンパートメントとしてとらえ,生体内における薬物動態をコンパートメント内における動きとしてモデル化して理解することにより,最適投与量の設計を行うことが可能である.このような薬物投与設計の考え方と,いくつかの例題についての投与量の算出法について,前回までに解説した.話をさらに進めるために必要な,前回までに述べた薬物投与設計に欠かせない基本的薬物動態値に関する用語と,計算式の要約を,表1,2にまとめておく.
今回は,薬物の「投与間隔のきめ方」について主としてとりあげるが,投与間隔(τ)は常に投与量(D)と密接な関係にあり,τだけを単独にとりあげることはできない.なぜならば,D/τが薬物の投与速度を表現しており,CssのレベルはD/τにより規定されているからである.
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