特集 心疾患合併妊娠
心疾患合併妊娠の分娩管理
千葉 喜英
1
1国立循環器病センター周産期治療科
pp.117-122
発行日 1985年2月25日
Published Date 1985/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206591
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はじめに
心疾患妊婦の分娩管理において最も大切なことは産科的なトラブルを発生させないことである。健康な妊婦にとっては充分予備能力の範囲内であるような,循環血液量の変動や血圧の変化,中心静脈圧の変動が心疾患妊婦にとっては大きな問題となる。
心疾患が重症であるにもかかわらず,本人や家族は妊娠の継続に対する希望が強く,心負荷の程度によっては分娩予定日を待たず人工早産もやむをえないというような条件で妊娠を継続している人,もしくは,心疾患の存在を知らず,または適切な管理を受けずに心不全がすでに発症しているような妊婦が分娩を行なう場合,循環系の予備能はすでにゼロであると考えてよい。したがって,通常の分娩に行なわれている管理や看護を,さらにきめ細かく少しの変動にも対応して治療を加えることが必須である。人的な問題できめ細かな変化を記録し対応することが困難なこと,また定量的な連続記録が必要などの理由で各種のモニターが必要になるのであって,モニターがなければ心疾患の分娩ができないというのではない。
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