特集 ラマーズ法を生かそう
朝比奈さんの分娩を介助して,原初の命を思う
吉村 正
1
1吉村病院
pp.765-769
発行日 1984年9月25日
Published Date 1984/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206516
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現代の日本の産科医療が,その表向きにかかげる理想がなんであれ,目標とし現実に実践していることは,現代社会のあり方を如実に反映して,主としていかに能率的に,いかに安全に,妊娠・分娩を経過させるかに関する技術の開発にあるといってよいであろう。そこには哲学も宗教もなく,まして美学は一かけらもないといって過言ではない。しかし,人間の妊娠・分娩という人類にとって真に厳粛な事柄が,単に科学技術的見地からだげ追究されているということは,人間を成りたたせている大切な要素を失わせることになり,科学技術的側面ばかり発達している現代の産科医療はいびつだといわざるをえない。
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