沈思黙考
命の大切さを思う
林 謙治
1
1国立保健医療科学院
pp.547
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102171
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震災に襲われてから1か月半経ちました(注:本コラム執筆時).この間被災地区のみなさまは震災当時の恐怖,そして被災の悲しみのためにたいへんな精神的負担を強いられているに違いない.また,これからの生活問題や健康のことなど様々な不安を抱えたまま,日々を重ねなければならない状況は察するに余りある.直接の被災者でなくても,たいへん身近な例として,われわれが一生に一度体験できるかどうかほどの大災害に遭遇して,読者諸氏も各自の人生に照らし合わせて,それぞれ思うところがあったと思います.
阪神・淡路大震災以降,災害時の入院患者救助についていろいろ検討されてきたが,当国立保健医療科学院では2年前から,特殊な治療を必要とする難病患者に焦点を当てて調査を行ってきた.このなかで気づいたことは,阪神・淡路大震災当時と違って難病患者であっても,かつて特殊な治療技術の多くは,最近在宅でも可能になったということである.つまり脳卒中そのほか一般的な疾患も含めて,近年在宅医療の技術的な進歩および推進により,災害時に救助対象となる病弱者は,過去に比べ地域により多く居住するようになったという事実に注目する必要があることを申し上げたい.
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