今月の臨床 着床障害―生殖医療のブラックボックス
着床障害への対処法
1.血流改善による子宮内膜の発育促進
嶋村 勝典
1
,
高崎 彰久
1
,
森岡 均
1
1済生会下関総合病院産婦人科
pp.853-857
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102386
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はじめに
われわれは不妊外来の現場で,過去に子宮内膜掻爬術の既往がないのに排卵期の子宮内膜の厚さが薄い症例をしばしば経験する.このような子宮内膜発育不全は着床障害の大きな病因の1つであり,排卵期の子宮内膜が薄い症例では妊娠率が低いことが報告されている1~4).
また,子宮内膜が薄い症例にエストロゲン製剤を投与したり,ゴナドトロピン製剤を投与して血中エストロゲン濃度を上昇させても子宮内膜の発育がみられない症例も多く,これまでは子宮内膜発育不全の病態について明らかになってない部分が多かった.
以前より子宮内膜発育不全の原因の1つとして子宮内膜の血流障害が考えられていたが5~7),最近われわれは,子宮内膜の発育と子宮放射状動脈の血流との関係を明らかにし,子宮内膜の血流改善を目的とした薬物療法が子宮内膜発育不全症例に対する治療になり得る可能性を見いだしたので紹介する.
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