連載 助産婦のための臨床薬理・2
妊娠と薬[2]—すべての薬は胎盤を通過する
柳沼 忞
1
1東京大学医学部付属病院分院産婦人科学
pp.430-436
発行日 1984年5月25日
Published Date 1984/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206454
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胎児は胎仔ではない──サリドマイドの教訓
前回述べたように,妊娠初期にサリドマイドを服用した母親から,高頻度に「あざらし状奇形」の児が生まれたのである。さらにこのような悲惨な事態になったのは,ラットを使用したサリドマイドの催奇形性試験において,その催奇形性が示されなかったためであると説明した。つまりサリドマイドの催奇形性には種差があったのである。これは,その後の薬の催奇形性試験のための良い教訓となった。
そこで,もう少し詳しくサリドマイドの催奇形性について説明してみよう。
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