ケースレポート
イレウス症状を呈した妊婦の中心静脈栄養による継続管理
鷲尾 ひとみ
1
,
西川 光子
1
,
中村 けい子
1
,
田中 初枝
1
,
山川 早苗
1
,
森光 孝枝
1
,
田苗 良子
1
,
高木 千代美
1
,
国府 由美
1
,
中村 裕見子
1
,
坂口 美由紀
1
,
今井 順子
1
,
浦田 さかえ
1
,
加藤 良子
1
,
城戸 イサ子
1
1京都第二赤十字病院産婦人科病棟
pp.237-242
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206418
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はじめに
妊娠に合併するイレウスは比較的まれではあるが重大な合併症で,そのほとんどが閉塞性イレウスである。多くは既往の腹部手術または腹腔内炎症のために生じた癒着が原因で,妊娠中は,増大した子宮のために発見が遅れ,手術も困難なために,予後は必ずしもよくない。治療は開腹して通過障害を除くことに尽きるとされている。また,まれに大腸管壁の筋緊張が低下するために起きる麻痺性イレウスも報告されている。
今回,幼時にヒルシュスプルング病の手術をうけ,妊娠25週時に既往症に関連すると思われる著明なイレウスを合併し,強度の脱水状態に陥った25歳の初妊婦に遭遇した。われわれは,イレウス症状の軽減および予防を図りながらできる限りの妊娠継続をめざし,妊娠27週より経中心静脈高力ロリー栄養(以下IVHと略)を続け,妊娠38週で帝王切開により正常成熟児を得ることができたので,若干の考察を加えてその経過を報告する。
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