研究・調査・報告
生活の変化と出産の習俗—埼玉県秩父郡小鹿野町の調査から
大河原 千鶴子
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.230-236
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206417
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はじめに
戦後昭和30年代からの急激な産業化・都市化の過程における人々の生活の変化は,出産にかかわる習俗に大きな影響を及ぼしている。わが国における施設内分娩は,昭和25年に4.6%であったものが,53年には99.4%となり,ことに昭和30年から40年にかけての自宅から施設内への移り変わりがめだつ。(厚生省:母子衛生の主なる統計,1980)
この推移のなかで,産科医療技術や妊産婦保健管理の進歩と相まって,乳児死亡や周産期死亡ならびに妊産婦死亡が激減し,母子保健水準諸指標の著しい改善がみられた。しかしながら,一方では,機械的な扱いや計画分娩にみられるゆきすぎた産科管理のあり方に対する反省が求められ,分娩環境の見直しの必要性も説かれている。
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