グラフ
地域での新しい可能性を求めて—1産科診療所のユニークな母親学級
八木 保
,
本誌
pp.175-178
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206408
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「妊婦を集めて話をするだけでは,母親学級の実効は少しもあがりません.たとえば,"塩分は控え目に""有色野菜をたくさん食べて"というだけで調理の仕方まで指導しないのでは,若い妊婦さんを食事ノイローゼにしてしまうだけです母親学級に熱心な産院の妊産婦にマタニティ・ブルーがよくみられるといわれるのは,こんなところに原因があるのではないでしょうか」関根産婦人科(東京・練馬区)の関根憲治院長は,13年間の体験を背景に,母親学級の現状をこのように指摘する.
このような認識を背景に,関根産婦人科では,妊娠初期から退院後のフォローアップまで指導目標別に,貧血学級,安産学級,新生児学級離乳食学級,育児学級などのバラエティに富んだ母親学級が運営されている。妊娠・分娩・育児に関する情報はおびただしい量にのぼるがその豊かさがかえって現実とのギャップを鋭利に自覚させ,妊産婦の生活に過重な負担をかけているというわけだ.母親学級はこのギャップを埋め,妊娠・分娩・育児への自信と喜びを妊産婦に与えるものでなければなるまい.顕著な社会変動を前にして,今や新しい形態の母親学級が求められ,その第一歩が確実に踏み出されているのである.
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