私と読書
「婦人雑誌ジャーナリズム」—岡 満男 著/「待っててね赤ちゃん」—西里 扶甬子 著
小野 清美
1
1千葉県立衛生短期大学
pp.699-701
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206297
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情報洪水に押し流されないために
本書は,明治の文明開化から現在までの女性の歩みをジャーナリズムを通して紹介したものである。女性問題を考えるにあたり,ジャーナリズムの世界でどのように女性が扱われていったのかという変化を知ることができる。本書では,具体的な記事の内容が紹介され,しかもその解釈も加えられていることから,なおいっそう面白く読むことができる。
その一部を紹介すると,明治維新の文明開化は男性の上には近代化をもたらしたが,女性は対象外であったことが述べられている。たとえば,1872年3月の『新聞雑誌』第35号にのった,長い髪が女の美しさであることを愛でているものや,1883年6月10日の『朝野新聞』の一夫多妻を合法的にみていろ記事,さらには,身売りする娘の孝行美談を報じた記事などの原文を通して,当時の状況をうかがい知ることができる。
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