グラフ
地域に根づく母子医療—諏訪マタニティークリニックの活動を追う
本誌
pp.253-256
発行日 1983年4月25日
Published Date 1983/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206205
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諏訪マタニティークリニックは,長野県のちょうど中央部下諏訪町に位置し,背後には‘御神(おみ)渡り’で有名な諏訪湖が控えている.その外観は,諏訪の町並みの中で少々突出気味と思われるほど瀟酒であるが,内部も十分な設備を備えている.医療で得たものは,すべて医療を受けに来る人たちに還元したいという哲学を持つ根津八紘院長の考えが具体化した建て物であり,人的にもスタッフの陣容の中身は濃い.
ともすれば,近代的な設備を整えると同時に,反比例するかのように,ケアする精神が失われがちであるが,諏訪マタニティークリニックには,そうした気配のないことに安心させられた.医療にたずさわる者は患者に奉仕するのが当然という思想を,根津氏は信州大卒業後派遣された沖縄中部病院で徹底的にたたきこまれたということであるが,合理性と人間性重視というアメリカ医療のよき影響を間接的に受けて,それまで蓄えてきた諸々の力を,ここ諏訪の地において見事に結実させたといえよう.
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