グラフ解説
「家庭分娩」体験は家族の新たな出発点
小野 宗芳
pp.839-841
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206102
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■迷わず「家庭分娩」を選択
私たちは4年ほど前に結婚して,1年10か月になる娘がおります。娘の時は病院分娩であったので,わが子誕生の実感に乏しかったし,現代の医療に疑問を感じていたところもあり,次の子の時はぜひ家庭分娩で産みたいと思っていた。
現代では工業化の波は医療面まで及び,医療技術の進歩は,病院分娩を自動車生産と同じ機械製造工程と化した。つまり病院は委託加工分娩工場である。夫の役割は原料運搬人で,陣痛の始まった妻を病院に引き渡すことである。その後は陣痛室,分娩室という密室を経て,赤ん坊が「生産」され,品質管理の後,加工賃,つまり分娩・入院料と引き換えで夫に引渡される。これでは出産の実感を味わうにはほど遠い。技術の進歩によってこの傾向はますますひどくなるからなおさらである。
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