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デンマークにおける人工妊娠中絶の歴史:1200年〜1979年
Induced Abortion in Denmark, year†1200~1979
伊東 敬文
1
Erik Manniche
1コペンハーゲン大学社会医学研究所
pp.842-847
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206103
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デンマークにおける最初の成文法は,紀元後1,200年頃である1)。この法律には人工妊娠中絶に関する項目は含まれていない。しかし,やはり13世紀初頭に大司教アナス・スネスン(Anders Sunesφn,1167〜1228)と彼の同僚によって制定された教会法は,人工妊娠中絶をした女性は殺人を犯したとして懺悔するよう要求している2)。このローマ・カトリック教会に鼓舞された教会法には,いくつかのバリエーションがあるが,その中のひとつは,父親からの懺悔も要求している。この懺悔は,教会から2年間の排除とその後最高7年に及ぶかなり厳しい飲食規定に従うことを求めていた3)。しかしかなり長い期間,デンマーク人は,人工妊娠中絶に対してあまり注意を払っていなかったと推定してよいと思われる。
デンマークの宗教改革は,1536年に行なわれるが,それまでデンマーク教会は,ローマ・カトリック教会の一管区であり,基本的にはローマの教会法はデンマークにも適用されていたといえる。宗教改革以降,デンマーク教会は国家権力と結びつくわけであるが,かつての教会法の多くはそのまま効力を持っていた。多くは,後の国法の中に取り入れられている4)。
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