分娩体験記
大阪・正木助産院でのラマーズ出産──夫の立場から
中谷 慎一
pp.879-882
発行日 1981年11月25日
Published Date 1981/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205932
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■ラマーズへの道
4年前に結婚したとき,私たち夫婦は出産についての知識を持っていなかった。妻の美保子(小学校教員)は子供のころから,お産は恐いものと思いこんでいた。私もまた,出産で人柄の変わってしまった人や,出産後に聴力障害の残った人が身近にあったので,出産は大変なことだと感じていた。だから私たちは,麻酔分娩や帝王切開などの苦痛のない出産,病院での出産が一番安全で楽なものだと考えていた。
ところが図書館で調べたところ,医学の進歩した今日の病院出産でも,決してお産は楽なものではないとわかった。しかも,病院出産で私が不満に思ったことは,夫の出番がないことだった。《病院まかせでは,夫は妻の出産を手をこまねいて待つしかないのか。妻がどんな苦しみを味わうのか夫が全然知らないでいいのか。2人でもうけた子供なのに,なぜ妻1人で苦しまねばならないのか。1人きりで産室で苦痛に耐えなくてはならないとしたら,妻はどんなにか心細いだろう》と,私は思った。
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