特集 保健指導再考
改めて保健指導を考える
藤田 八千代
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.813-819
発行日 1981年11月25日
Published Date 1981/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205922
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
昭和23年,アメリカのミス・マチソンの来日を契機として,わが国の母性領域における保健指導は新たな時代を迎えた。現在,病産院,保健所を中心として展開されているような母子保健指導の実施をみるに至ったことは,当時の看護職には画期的なできごとであった。あれから30数年を経ようとしている今日でさえ,この事実は記憶に新しいところである。この間,その呼び方も,当初は妊産婦保健指導と呼ばれていたのが,やがて母性保健指導と呼ばれるようになり,現在に至っている。
その方法を学んだ助産婦たちは,母親学級と称して集団指導を実施したり,妊娠各月の保健衛生生活についての個人指導を行なったり,それぞれの施設で最良の方法を考案し,実施してきた。その結果,確かに母性の衛生知識は高まり,保健水準も向上してきた。しかし現在それを振り返ってみると,改めて考えさせられる,いくつかの問題が出てきたように思う。本稿ではそれらの中から特に重要と思われる3つのポイントについて,事例を上げながら説明し,それを端緒にして,保健指導のあり方に検討を加えてみたい。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.