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保健指導を考えなおす—改めて楽しいお産に思う
村岡 八千代
1
1神奈川県立母子保健センター
pp.20-24
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202692
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最近,保健指導ということについて思いきり深く掘り下げてみたいと考えていた矢先,おりしも公衆衛生学会,公衆衛生看護学会,さらには,母性衛生学会など,一連の学会が開かれ,少なからず保健指導の重要性から,実施上の困難さ,加えて一面の成果などが研究され発表された.ことに保健指導の問題点というテーマは少々の内容の差異はあっても,二つの学会の中心テーマとさえなっていた.そのこと自体,関係者がいかに苦心し,または問題の複雑さが人や経済や生活の中でからみあい,いかに保健指導を困難にしているかということだと思う.
そうした社会的問題点は別として,ここで,もう一度考え直してみたいことは,保健指導担当者の《保健指導という考え方について》である.いや考え方というより,方法ということなのかもしれない.元来,保健指導は被指導者がよく納得し正しく実践することによって目的が達せられるのであって,指導しさえすればいいのではない.その点でまことに憂慮または寒心に堪えないことは,保健指導を重ねて受けた人ほど,ある種の不安症,またはノイローゼにかかっている様子がしばしば見受けられるということである.もちろんこれは単に指導者の責任ばかりでなく,心ないマスコミの魔手にかかっていることも軽視できない事実でしょう.
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