特集 自然分娩の復権
産痛の面からみる自然分娩の摂理
田間 恵実子
1,2
1前:大阪大学医学部附属助産婦学校
2現:香川医科大学附属病院創設準備室
pp.347-350
発行日 1981年5月25日
Published Date 1981/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205846
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
自然に営まれることの中には驚くばかりの摂理がある。それは,生殖の分野にもあまねく網羅されているわけだが,今回,「産痛」の分野で感じた驚異について考察してみたい。分娩の条件によっては,産痛を全く感じないですむ場合があることを臨床面ではよく経験しているところである。
「産痛」には,本来,「痛み」がもっている警報的な役割,生体にとって有害かつ危険な,物理的あるいは化学的刺激などの侵害刺激によってひき起こされ,したがって生体への侵害刺激の有無と程度を知らせるという,役割上の明確な論理がない。それに加え,分娩の要因として「産痛」は必須とは言いがたい。古来からの「腹を痛めた子」云々という言葉が何か示唆しているのであろうか。役割も存在もあいまいなこの産痛なるものについて,2,3の考察をしてみたい。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.