今月の臨床 早産対策—いま臨床医ができること
病棟での対策—私はこうしている
1.子宮収縮の評価と収縮抑制剤の使用法・2
三宅 良明
1
1日本大学附属練馬光が丘病院産婦人科
pp.712-714
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903280
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近年,周産期管理やNICUの発達とともに周産期死亡率は減少しているものの,早産率はいぜん妊娠37週未満では8〜9%,妊娠32週以前では1〜2%を占め,早産(preterm birth)は今なお,周産期死亡の主な原因となっている.また,早産の病態が子宮収縮と子宮頸管熟化であることは明らかであるものの,その成因やリスク因子は多岐にわたっていることや臨床的に偽陣痛(pretermcontraction)と切迫早産(preterm labor)との鑑別が困難であることから,その治療法も子宮収縮抑制による対症的治療が主体であった.しかし,最近,早産の病因としてプロゲステロンの消退を初めとする妊娠維持機構の抑制解除や,種々の感染症(尿路感染,細菌性腟症,絨毛膜羊膜炎)に伴う炎症性サイトカインの増加が,プロスタグランジンの増加による子宮収縮や好中球エラスターゼ,MMPの増加による頸管熟化を惹起することが次第に明らかとされるとともに,種々の早産マーカー(顆粒球エラスターゼ,癌胎児性フィブロネクチン)や経腟超音波による子宮頸管長の形態的変化を容易に捉えることが可能となってきたため,早産の早期予知と個々の症例に応じた治療が可能となってきた.
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