今月の臨床 いまなぜ“胎児仮死”か
胎児仮死にどう対応するか
1.母体への対応
3)子宮収縮抑制法
坂田 寿衛
1
1社会保険横浜中央病院
pp.1638-1641
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902360
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分娩は時間の経過による胎児の変化に注意することはいうまでもないが,とくに分娩経過中に突然子宮内低酸素状態によるfetal distressをみることは少なくない.このような場合,分娩監視装置(cardiotocogram:CTG)所見より胎児心拍数変化が①遅発一過性徐脈が15分以上持続し,さらにvariabilityの減少のみられるもの,②徐脈が60〜90bpmさらにそれ以下を示すか,60秒以上持続する高度変動一過性徐脈③100bpm以下の徐脈が持続する場合,に直ちに急速遂娩を図るか,あるいは酸素吸入や体位変換など胎内への酸素量を増すことによって児の低酸素血症の治療を行いながらどの状態で帝王切開などの急速遂娩にふみきるか,我々臨床医はつねに悩んでいるところである.
このような際,分娩前妊娠中毒症などの異常妊娠や合併症妊娠のようなリスクファクターの有無陣痛の強さや過強陣痛発現のリスク,分娩進行状態(児頭の下降度,軟産道の状態,子宮口開大度など)を合わせ考えて対応することが必要である.今回,分娩経過観察中長時間経過した場合,さらに過強陣痛などによってfetal distressが発現した場合の分娩までの対応策について子宮収縮抑制剤をも含めて我々の考え方を述べてみたい.
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