特集 女性のアイデンティティと出産
子育てと子離れ
エディト・ラウ
1
1法政大学
pp.591-595
発行日 1980年9月25日
Published Date 1980/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205757
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I."母親"の固定イメージ
すべてを限りない大きな愛で包み込む母,献身と自己犠牲の象徴たる母,古くからのこうした母のイメージは,母親を批判することをひとつのタブーとさえしてきた。しかしともかく今日では,ためらいがちではあるが,母親の役割をなぜここまで理想化しなければならないか疑問視する声があがり始めている。母のあのイメージは,じつは伝説であり神話でしかないのではないかという疑いの声である。
もっとも,すべてに耐え,すべてを許す母の愛なるものに疑いを投げかける声が昔から皆無であったわけではない。たとえば「ヘンゼルとグレーテル」,「白雪姫」あるいはまた「ホレおばさん」などのグリム童話に出てくる"意地の悪いまま母"に,その片鱗を見ることができる。
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