新刊紹介
綜合産科婦人科学
木下 勝之
1
1東大助産婦学校
pp.492-493
発行日 1979年7月25日
Published Date 1979/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205579
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近代医学の進歩はめざましく,産婦人科学領域も,その例外ではない。基礎医学における最近の研究成果は,人の生殖生理および病理の理解を一層深いものとし,非妊時の女性性機能と妊娠現象とは個別に理解,考察されるべきものではなく,非妊時から妊娠・分娩・産褥という一連の変化として理解されるべきことを裏づけてきた。また,この新しい知見は一般臨床へ応用され,疾病の診断・治療の向上へ大きく貢献していると同時に,胎児医学,周産期医学,老人婦人科学等の関連領域医学の発展を促しつつある。このような現状では,従来のように妊孕現象と直接関係あるものを産科学,非妊時の性器疾患を婦人科学として,別個に記述する成書の体系では,生殖生理を中心とした女性性機能の生理・病理およびその臨床を総合的に理解するには適しておらず,むしろ新たな構成と内容をもった産婦人科学の成書の出現が待望されたのである。
ここに紹介する,坂元正一・倉智敬一編集による『綜合産科婦人科学』(医学書院,1979年)はまさにその待たれていた一書であり,生殖生理を中心に各基礎分野の知見と,解明されるべき臨床的現象が有機的・綜合的に理解されるようまとめてあるばかりでなく,ベッドサイドでそのまま役立つ実地編も含まれており,しかもその中から新たなものを学びとり,発展させていくための資料ともなり得る内容を持った名著である。
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