理学療法の現場から
今“時流”に思うこと
横川 廣
1
1三原市医師会病院リハビリテーション科
pp.589
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100852
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スポーツ団体の派遣により渡米したのが20数年前,しばらく西海岸で生活する機会を得,日本を外からみることができたことは貴重な体験となった.そのウエイトトレーニングをライフワークにしたいという希望で帰国後リハの道へ進んだわけだが,20年程現場に身を置き,時代折々の社会の流れ,人々の気質に大きな変化を感じる.リハ医療現場を取り巻く様々な状況の中,私心を織り交ぜ感ずるまま筆を進めたいと思う.
今,不況の脱却ができない状態が続き,産業界,教育,医療,…社会全般にわたって綻びが出て来ている.その一つ,医療財源については,旧年よりの「財政の赤字による負担増」→「抜本改革の約束」→「利害調節の失敗」→「財政赤字」…このようなサイクルが続き,昨年はとうとう類をみない診療点数の改定が断行されリハ部門の是正も大きかった.社会のあらゆる分野で,市場開放,市場原理の導入,効率化も進んでおり,不要な部分は競争の結果淘汰され,必要なところは発展する.近年にみる市町村の合併も効率化の表れだろう.医療分野においても特殊な事情はあるが,その洗礼は免れない.医療財政危機を,国民,患者,医療機関のいたみわけで乗り切ろうとしているのが現状ではないだろうか.なぜか明治維新後の社会構造の根本的な改革時期に来ているように思える.
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